2013年 07月 29日
アンドレアス・グルスキー展 六本木・国立新美術館
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ドイツ人写真家、アンドレアス・グルスキー(1955〜)をご存知でしょうか。
彼の作品、1枚の写真が、4億3千万円で落札されたことで有名になりました。
(絵画と異なり複製可能な写真でこの値段は破格です)
そんなグルスキーの大規模写真展が、
現在、東京・国立新美術館で開催中です(9/16まで)
大変素晴らしい展示ですので、是非。

ぱっと見てわかりやすい写真ではなく、現代アートの範疇になるので、
簡単な鑑賞ガイドを、ご参考程度に。
先ずは、大ざっぱな写真史から。

・1840年頃、写真発明
 すげー、本物みたいに写る=単なる記録写真量産
 まだ写真機は大きくて重く、感度も低いので露光時間かかる

・長年の絵画の技法が写真に反映、構図とか主題とか

・第一次世界大戦勃発 戦争記録のための写真
 カメラが小型軽量になる、ガラス板からフィルムへ=量産への道
 印刷技術が発達、ニュース写真は印刷(大量複製)されて、世界中へ
 (1枚勝負の絵画と大きく道をわける)

・ロバートキャパ、ブレッソン 報道写真のヒーロー
 写っているものは、大きな事件であり、決定的瞬間であり、
 見るべき価値のある事象。
 主題A(ピントがあっている)があり、背景B(ぼけてている)がある。

・技術の進歩、美しい写真プリントの発達。
 アンセル=アダムス、アメリカの自然風景を撮る。
 モノクロプリントの定義決まる
 美術館に収蔵される写真は、美しいモノクロプリント、
 鑑賞写真の完成形。

・1970年代、それまでの手法へのアンチテーゼ。
 画面の隅々までピントを合わせる。モノクロでなくカラープリント。
 そこに写っているものに、事件性はない。どこにでもある日常。
 止まった時間。画面の隅から隅まで、すべてを等価値にする。
 ニューカラーと言われる流派の台頭。
 作例

・1970年代後半頃から、技術のインフレが起こる。
 カメラが安価に、フィルムも安価に、印刷プリント技術の進化。
 もはや写真は特殊な技術不要で、誰でもが撮影できるようになる。
 お金持ちだけのものでもなくなる。
 ニュースの記録や美しい風景写真だけでなく、コンセプトアートに重きを置く写真家が増える。

・1980年に、アンドレアス・グルスキー登場。
 彼の手法は、
 ・巨大プリント(書籍など流通印刷物での複製不可能なサイズ)
 ・画面全部にピント、シャープなプリント(画面内すべての物が等価値)
 ・大型カメラと望遠レンズを使う
  作品から離れて見ると、遠くにある景色を双眼鏡でのぞいているようで、
  作品に近づくと、細かいところまで大変緻密に表現されている、
  まるで、1枚の写真に望遠レンズとマクロレンズが混在しているかのような表現。

・2012年の作品「ライン川」が4億3千万円で落札、写真史で最高額。

と、ざっと簡単に。

グルスキーの写真は、写真集で見ても、今ひとつ理解できません。
でも美術館に行き、実際の作品を見ると、その迫力に圧倒されます。
どの作品も意味があっての巨大プリントです。
たとえばこのリンク先にある「99セント」という作品。
webで見てもわかりにくいのですが、
実際の巨大なプリント(3.2メートル×2.07メートル)で見ると、
まるでこのスーパーに実際にいるかのような錯覚を起こします。
そして、これでもかと迫る消費商品に押しつぶされそうになります。

印刷物でなくオリジナルを鑑賞できるいい機会です。
是非。

東京 2013年7月3日ー9月16日 国立新美術館
大阪 2014年2月1日ー5月11日 国立国際美術館

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by sekigawa88 | 2013-07-29 23:14 | exhibition


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